◆◆西京project用ブログ◆◆腐向け・女性向け表現アリ◆西京参加者様に限りリンクフリー◆
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このカラの器には何が満ちる?
体は妖怪といえど、精神面は高校生の少女は迷い、惑い、彷徨い続けて。
※みみみさん宅の橘香平さん(http://www58.atwiki.jp/saikyoproject/pages/373.html)を少しお借りしています。
体は妖怪といえど、精神面は高校生の少女は迷い、惑い、彷徨い続けて。
※みみみさん宅の橘香平さん(http://www58.atwiki.jp/saikyoproject/pages/373.html)を少しお借りしています。
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とおい、とおい。過去の約束を思い出す。
――刀になれん言うなら鞘になれば良か。
片時も離れることは許さん。
お前は、ワシの鞘やけんな…。
…旦那さん。
約束を、違えてしまうことを、お許しください。
――刀になれん言うなら鞘になれば良か。
片時も離れることは許さん。
お前は、ワシの鞘やけんな…。
…旦那さん。
約束を、違えてしまうことを、お許しください。
佐々浦奏海の朝は早い。
決まった時間に起き、決まった事をし、…例えば洗顔やら朝食やらの自分の日課。それらを順に実行しないと落ち着かない性分である。
…なので。
佐々浦奏海は洗顔をすませ、軽い朝食をとってから、自分の店である駄菓子屋"木須"前の道路を箒で掃いていた。
愛想の無い声が、通りすぎてゆく学生や近所の人たちにおはよう、とまめに挨拶を交わすのが此処の日常。そして、
「おはようなのですよ、かなちゃん」
「…おう」
幼馴染にして腐れ縁の少女、白蓮院桜華。小さい頃から知っているが、彼女に対して奏海は妙に距離を置こうとする癖があった。
子供の頃と変わらぬまま接するのは難しい。
…つーかこの女も自覚しませんかねえ、幼馴染でも男は男だし、ガッコとかで妙な噂でも立てられてねえんだろうか。まあ無いか。桜華だし。
しかし奏海の心配も気にせず、桜華はマイペースに、今日は晴れそうですねえとか体育は嫌ですだのと話しかけてくる。仕方がないので答えてやれば自然と会話は進んでしまう。
…まあいいか。
諦め混じりに息を吐くと、ちりりりんと聞き慣れたベルの音が響き、二人の会話は一時中断した。
奏海と桜華が揃って振り向けば、眼前に異なる柄の包みがつきつけられる。奏海のほうは青の千鳥格子、桜華のほうは桃色の桜柄。
「何も聞くな」
特高の制服に身を包み、自転車に跨り、俯いていても、疲れたオーラは隠せない。
「何も聞かず昼に食ってはくれないか…!」
受け取ってみると、包みの中身はまだ温もりが残っている。
いつもの手作り弁当だ。彼――奏海と桜華のもう一人の幼馴染、桜庭蓮爾の。
「おい蓮爾」
「何も聞くな!」
――あー疲れた顔しやがって、だいぶ煮詰まってんなァ無理すんな?
ため息ひとつで伝わりはしないが、心の中で呟いておく。
桜庭蓮爾は捜査や仕事が行き詰まると、家事をしてストレス発散する傾向がある。だいたいは自分の弁当にしているのだが、ストレスに比例して作る分量は増えていく。残すのも勿体無い、そして捨てるなど以ての外。…という訳で、作りすぎた分は幼馴染へおすそ分けになる。
「れんちゃん、卵焼きは入ってますか?」
お前は空気読めや。
「入ってるとも!出汁巻きだが!」
お前はお前で何も聞くなとか言ってませんでしたか空耳ですか。
桜華はわーいれんちゃんの出汁巻きー、と浮かれている。めでてぇ奴だなホントに。
「おい蓮爾」
「何も聞くな」
俺は駄目なのかよそうですかよ。
「…お前いつも俺らにやってねえで、職場の同僚とかに差し入れしたらどうなんだよ」
「何かを食べているの見たことない人と、何でも食べてくれそうな人だからかえって難しくてな!」
胸ぇ張って言うコトか阿呆ぅ。コミュニケーション養えよそこで。
「僕としては君ら二人が食べて律儀に感想をくれるのも嬉しいのだぞ!…ただ最近もらう感想が単調なのが物足りないが」
「仕方ないのですよ、れんちゃんお料理上手ですし」
「俺らに聞いても真新しい感想とか出ねーぞ、慣れたし」
桜華の、幼馴染への感覚が麻痺する要因の一つが彼である。
男なのだが料理や裁縫が得意で、外見も中性的。こんなのが傍にいれば、桜華がこちらに接する態度を変えないのも仕方ない。
「むう」
蓮爾はそれもそうかと呟き、何か考えている様子だったが。
「だが」
ため息ひとつ。
「…やはり少し気がひけるよ」
さて、と気合を入れ直し、蓮爾は自転車のペダルに足をかけ。
「では、いってきます」
桜華も遅刻するぞ!と言い残して蓮爾は去っていく。
「ヘタレが」
「れんちゃんは乙女ですから」
…ものすげえ発言だが意味わかって言ってンだろうか、こいつは。
「かなちゃん」
「あ?」
「行ってきます、ね」
「おう、行ってら」
機嫌がいいのか、桜華はにこにこしながら学校への道に一歩を踏み出してゆく。
奏海は、気を取り直して箒を握ろうとして、…渡された包みを家に置いとくかと一旦引っ込んだ。
いつもの日常、幼馴染二人の変わらぬ様子に、悪かねえと呟いて。
決まった時間に起き、決まった事をし、…例えば洗顔やら朝食やらの自分の日課。それらを順に実行しないと落ち着かない性分である。
…なので。
佐々浦奏海は洗顔をすませ、軽い朝食をとってから、自分の店である駄菓子屋"木須"前の道路を箒で掃いていた。
愛想の無い声が、通りすぎてゆく学生や近所の人たちにおはよう、とまめに挨拶を交わすのが此処の日常。そして、
「おはようなのですよ、かなちゃん」
「…おう」
幼馴染にして腐れ縁の少女、白蓮院桜華。小さい頃から知っているが、彼女に対して奏海は妙に距離を置こうとする癖があった。
子供の頃と変わらぬまま接するのは難しい。
…つーかこの女も自覚しませんかねえ、幼馴染でも男は男だし、ガッコとかで妙な噂でも立てられてねえんだろうか。まあ無いか。桜華だし。
しかし奏海の心配も気にせず、桜華はマイペースに、今日は晴れそうですねえとか体育は嫌ですだのと話しかけてくる。仕方がないので答えてやれば自然と会話は進んでしまう。
…まあいいか。
諦め混じりに息を吐くと、ちりりりんと聞き慣れたベルの音が響き、二人の会話は一時中断した。
奏海と桜華が揃って振り向けば、眼前に異なる柄の包みがつきつけられる。奏海のほうは青の千鳥格子、桜華のほうは桃色の桜柄。
「何も聞くな」
特高の制服に身を包み、自転車に跨り、俯いていても、疲れたオーラは隠せない。
「何も聞かず昼に食ってはくれないか…!」
受け取ってみると、包みの中身はまだ温もりが残っている。
いつもの手作り弁当だ。彼――奏海と桜華のもう一人の幼馴染、桜庭蓮爾の。
「おい蓮爾」
「何も聞くな!」
――あー疲れた顔しやがって、だいぶ煮詰まってんなァ無理すんな?
ため息ひとつで伝わりはしないが、心の中で呟いておく。
桜庭蓮爾は捜査や仕事が行き詰まると、家事をしてストレス発散する傾向がある。だいたいは自分の弁当にしているのだが、ストレスに比例して作る分量は増えていく。残すのも勿体無い、そして捨てるなど以ての外。…という訳で、作りすぎた分は幼馴染へおすそ分けになる。
「れんちゃん、卵焼きは入ってますか?」
お前は空気読めや。
「入ってるとも!出汁巻きだが!」
お前はお前で何も聞くなとか言ってませんでしたか空耳ですか。
桜華はわーいれんちゃんの出汁巻きー、と浮かれている。めでてぇ奴だなホントに。
「おい蓮爾」
「何も聞くな」
俺は駄目なのかよそうですかよ。
「…お前いつも俺らにやってねえで、職場の同僚とかに差し入れしたらどうなんだよ」
「何かを食べているの見たことない人と、何でも食べてくれそうな人だからかえって難しくてな!」
胸ぇ張って言うコトか阿呆ぅ。コミュニケーション養えよそこで。
「僕としては君ら二人が食べて律儀に感想をくれるのも嬉しいのだぞ!…ただ最近もらう感想が単調なのが物足りないが」
「仕方ないのですよ、れんちゃんお料理上手ですし」
「俺らに聞いても真新しい感想とか出ねーぞ、慣れたし」
桜華の、幼馴染への感覚が麻痺する要因の一つが彼である。
男なのだが料理や裁縫が得意で、外見も中性的。こんなのが傍にいれば、桜華がこちらに接する態度を変えないのも仕方ない。
「むう」
蓮爾はそれもそうかと呟き、何か考えている様子だったが。
「だが」
ため息ひとつ。
「…やはり少し気がひけるよ」
さて、と気合を入れ直し、蓮爾は自転車のペダルに足をかけ。
「では、いってきます」
桜華も遅刻するぞ!と言い残して蓮爾は去っていく。
「ヘタレが」
「れんちゃんは乙女ですから」
…ものすげえ発言だが意味わかって言ってンだろうか、こいつは。
「かなちゃん」
「あ?」
「行ってきます、ね」
「おう、行ってら」
機嫌がいいのか、桜華はにこにこしながら学校への道に一歩を踏み出してゆく。
奏海は、気を取り直して箒を握ろうとして、…渡された包みを家に置いとくかと一旦引っ込んだ。
いつもの日常、幼馴染二人の変わらぬ様子に、悪かねえと呟いて。
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プロフィール
HN:
たかや
性別:
女性
自己紹介:
!!CAUTION!!
女性向け表現あり。
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