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このカラの器には何が満ちる?
体は妖怪といえど、精神面は高校生の少女は迷い、惑い、彷徨い続けて。
※みみみさん宅の橘香平さん(http://www58.atwiki.jp/saikyoproject/pages/373.html)を少しお借りしています。
体は妖怪といえど、精神面は高校生の少女は迷い、惑い、彷徨い続けて。
※みみみさん宅の橘香平さん(http://www58.atwiki.jp/saikyoproject/pages/373.html)を少しお借りしています。
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私には姉がいました。名を、凛華といいます。
私がまだ幼い時に病気で死んでしまって、死に顔はとても綺麗で、私もそうなりたいなと思ったのをとても良く覚えています。
…私の生活から姉が居なくなって、私はなんとなく、生きたくないなと心に鍵をかけました。
ある日のことです。ぼんやり庭を眺めていたら、ボールが迷い込んできました。外で遊ぶ子供の声がボールを探していたから、「ここだよ」と声をかけました。
ありがとうではなく、一緒に遊ぼう」と外に連れ出してくれた二人の男の子。初めての、お友達。
桜庭蓮爾くんは、れんちゃん。
佐々浦奏海くんは、かなちゃん。
二人からは桜華と呼ばれ、三人で遊ぶ毎日が始まりました。
色々あったけれど、兄妹のように三人でいるのが当たり前で。初恋を知りはじめる時期、私はとても難しい悩みにぶつかりました。
かなちゃんとれんちゃん、二人の男の子のどちらも大事な友達です。学校で会う男の子にはあまり心が動きません。
私は、二人はお兄ちゃんのような人だから、と蓋をしました。
けれど数年が経ち、蓋が僅かにずれていきます。
逃げて後回しにしてはいけないと、思い知るのです。
かなちゃんには私の同級生のお友達が。れんちゃんには、職場の同僚の方が。二人にそれぞれ、私とは違う女の子の縁があって。二人はそれぞれ、その女の子との縁を大事にしていて。
私は思い知るのです。
二人の男の子を同時に好きだったと、二重の失恋を得たのです。
「桜華。解っているな」
はいお父様。解っていますと答えながら、私は、解らないと困り果てています。
妖怪――たとえ末端でも、名家に名を連ねる白蓮院の娘である以上、同年代の名家の子たちがそうするように。高校を卒業するまでに結婚相手を見つけ、白蓮院の跡継ぎをどうにかしなければいけないのに。
――私には、恋がわかりません。
両親のように見合いで縁を結ばなければならないのかしら。重い気持ちに重い足取りで、桜華は父から言いつけられた用事のため、慣れぬ道を歩いていた。
家の用事を務める際、桜華は決まって着物を着る。髪を結い上げ、薄化粧をし、ぴしりと背筋を伸ばして歩く。カタチだけでもそうありたいと、姉が生きていたら立派に務めただろうと自身に課して。
ふと見ると、同じ道を少しだけ先に歩む男性が一人。
作務衣を着た中年男性だ。買い物帰りなのか、食料品が入っているだろうビニル袋と、小さな花束を手にしている。
――奥様に贈り物かしら?
横断歩道の赤信号に足を止められ、ふたりして並ぶ。
既婚者だろうな、とは雰囲気からくる印象だ。まめに花を土産にする旦那さま。なんだかいいな、と桜華はその人の奥様が羨ましくなる。
「あの」
赤信号なのを幸いと、桜華は男性に声をかけた。
こちらに視線を向けたその人が、軽く息を飲んだ意味など桜華にはわからない。
桜華はとたんに恥ずかしくなり、日傘の影に顔を隠しながら問うた。
「恋ってどんなものでしょうか」
私にはわからないのです。
色も変わり、青信号の下、二人は黙って見つめ合っていた。
私には姉がいました。名を、凛華といいます。
私がまだ幼い時に病気で死んでしまって、死に顔はとても綺麗で、私もそうなりたいなと思ったのをとても良く覚えています。
…私の生活から姉が居なくなって、私はなんとなく、生きたくないなと心に鍵をかけました。
ある日のことです。ぼんやり庭を眺めていたら、ボールが迷い込んできました。外で遊ぶ子供の声がボールを探していたから、「ここだよ」と声をかけました。
ありがとうではなく、一緒に遊ぼう」と外に連れ出してくれた二人の男の子。初めての、お友達。
桜庭蓮爾くんは、れんちゃん。
佐々浦奏海くんは、かなちゃん。
二人からは桜華と呼ばれ、三人で遊ぶ毎日が始まりました。
色々あったけれど、兄妹のように三人でいるのが当たり前で。初恋を知りはじめる時期、私はとても難しい悩みにぶつかりました。
かなちゃんとれんちゃん、二人の男の子のどちらも大事な友達です。学校で会う男の子にはあまり心が動きません。
私は、二人はお兄ちゃんのような人だから、と蓋をしました。
けれど数年が経ち、蓋が僅かにずれていきます。
逃げて後回しにしてはいけないと、思い知るのです。
かなちゃんには私の同級生のお友達が。れんちゃんには、職場の同僚の方が。二人にそれぞれ、私とは違う女の子の縁があって。二人はそれぞれ、その女の子との縁を大事にしていて。
私は思い知るのです。
二人の男の子を同時に好きだったと、二重の失恋を得たのです。
「桜華。解っているな」
はいお父様。解っていますと答えながら、私は、解らないと困り果てています。
妖怪――たとえ末端でも、名家に名を連ねる白蓮院の娘である以上、同年代の名家の子たちがそうするように。高校を卒業するまでに結婚相手を見つけ、白蓮院の跡継ぎをどうにかしなければいけないのに。
――私には、恋がわかりません。
両親のように見合いで縁を結ばなければならないのかしら。重い気持ちに重い足取りで、桜華は父から言いつけられた用事のため、慣れぬ道を歩いていた。
家の用事を務める際、桜華は決まって着物を着る。髪を結い上げ、薄化粧をし、ぴしりと背筋を伸ばして歩く。カタチだけでもそうありたいと、姉が生きていたら立派に務めただろうと自身に課して。
ふと見ると、同じ道を少しだけ先に歩む男性が一人。
作務衣を着た中年男性だ。買い物帰りなのか、食料品が入っているだろうビニル袋と、小さな花束を手にしている。
――奥様に贈り物かしら?
横断歩道の赤信号に足を止められ、ふたりして並ぶ。
既婚者だろうな、とは雰囲気からくる印象だ。まめに花を土産にする旦那さま。なんだかいいな、と桜華はその人の奥様が羨ましくなる。
「あの」
赤信号なのを幸いと、桜華は男性に声をかけた。
こちらに視線を向けたその人が、軽く息を飲んだ意味など桜華にはわからない。
桜華はとたんに恥ずかしくなり、日傘の影に顔を隠しながら問うた。
「恋ってどんなものでしょうか」
私にはわからないのです。
色も変わり、青信号の下、二人は黙って見つめ合っていた。
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女性
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