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もへじさん宅の杏ノ丞さんをお借りしています。




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…目覚めたら身体が軽かった。
室内は暗く、照明は消えている。同居人は暗くなる前に出て行ったのだろう。目が慣れるまでじっとしていたが、眼鏡は、と付近を探る。
だが眼鏡が無くとも視界は明瞭で、今日はやけに調子が良いのだなあとのんびりした気持ちで立ち上がる。伸びをして、何か夕飯を買いに総菜屋でも覗きに行こうかと顔を洗った。
眼鏡をかけ、くぁ、と欠伸をする。鏡を見る習慣は、あまりない。大雑把に髪を整えて、財布を手にドアを開ける。鍵はどうしようか。同居人はああだから、たぶん鍵がなければないでまたふらふらと出てゆくだろう。
……足音が響いてくる。身長一七○足らずの男の足音。いつもの癖が役に立つ様な状況は起きないのだけれど。ともあれ、会釈くらいはしておくか、と顔を向けたらそいつはいきなりこちらを指差してきた。
「誰だ貴様ァ‼︎」
誰とは失礼な。
「おのれ見知らぬ顔の者めが‼︎」
いや、そんな筈はない。この出会い頭に大失礼な態度の男とは何度か会話をして頭痛を覚えたのだから。
「貴様の顔と名前を覚えてやる光栄の感謝料として三十えn」
「初めてではないよ杏ノ丞くん、」
「なんと見知らぬ貴様よ我輩の顔と名前を知っているだと⁉︎光栄だな!四十えn」
起き抜けだからか声がおかしいなあ。
「だからね杏ノ丞くん、ぼくは」
「ああいやいや照れずとも良いッ‼︎吾輩ほどとなれば知られていて当然、見知らぬ貴様が吾輩を知ってくれている上何故だかやたらフランクな態度の免罪として五十円貰おうか!」
「なんで増えるの……」
うわ刀あったら死なないと分かってても斬りたくなるわ此れ。
「……とにかく払う謂れは無いから」
まだ声もおかしい。踵を返して階下へ逃げてゆくと、どん、と誰かにぶつかった。
「…失礼、」
「……レンタロ?」
その名はぼくの神経を甘噛みする。
「なんなんださっきから…!」
現れたのは影に潜む狗だった。今は人型をしているが。
「……あんたも、レンタロみたいに若返ルますか」
「それがどうし…、え?」
若返る、って?
ぺたりと顔に手をあてる。ああ鏡がないから分からないが、そうか。
「…なんだ今日は満月か…」
西京都に来てから気が抜けている。
なら杏ノ丞氏の態度も分かるが後で斬っとこう。それと、あまり弟の名を聞きたくない。満月の夜なら尚更だ。
「…失礼。外に用事があるのでね」
「目立ツ思うマス」
「背に腹は変えられないよ」
ああお腹が空いた。
大阪帝国と違って無闇矢鱈に人が殺せなくて飢えているってのに。
早足で何概館を出たものの、すれ違う人がそれぞれ反応してゆくのを気にせずに行く。
とりあえず、お腹が空きました。
とりあえず、殺したいのを我慢します。
「はぁ」
いい夜なのに。
きみが死ぬのにいい夜なのに。
「………お腹が空いたね」
満たされたいね。


「満月かぁ」
へくちっ、と時期外れのくしゃみをする。白衣は着ているものの、微妙にサイズが違って袖周りがきついので脱いでおく。
「……慣れないなぁ、若返りって」
遠く何概館にいる実兄の殺意なんぞ分かるわけもなく、煉太朗は研究所のデスクで書類整理を続けていた。
「ハイご注文の鯛茶漬けセット配達完了ーッて誰ですか汜柳さんに似て汜柳さんでない汜柳さんより若くて汜柳さんみたいに適度に枯れてるナイス雰囲気の人ッ‼︎」
「ははは茅乃くん初めてだったかな、お釣りいらないからこれで帰りなさい」
「対応が汜柳さんだ有難う御座います‼︎」
本日も、平穏也。
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