【BL】 くちびる、なぞって 【ロゼ雪】 [ 西京SS BL ]

https://shindanmaker.com/159197　様　より。

◆◆雪代功至◆◆
◆◆お借りしています◆みみみ様宅：ロゼ・ロクスさん◆◆

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　人に似せて造られた理由は何故だろう。
　余分な箇所をオミットすればより効率的に動作するはずだ。じいちゃんのからくりも、そうして余分なものを外して改良して良い物ができていったと功至は記憶している。
「…どうかしましたか、コウ様」
「んーん。別に」
　洗濯物を畳む彼を見つめながら、功至は彼を眺める。
　人にほぼ近い身体構造。衣服を脱がしてメンテナンスをしたから知っている。一般的な成人男性と同じつくりをしており、関節もひとのそれに近い。ただし性器の類は無い。
　…つまり愛玩用ではないわけだ。
　下世話な連想だと、この思考に陥った功至には理解が遠い。恥ずかしさは遅れてやってくる。

　ロゼシリーズ。ひとのための機械人形。
　ひとのために尽くすのがこのシリーズの使命だというのなら。

　そっと身を起こして、ロクス、と呼ぶ。はい、と彼が答える。律儀に振り向くから、苦笑してその唇に手を伸ばした。
　指でなぞる薄い唇。ひとににた。粘膜、とかどうなんだろう。触れるとどうだろう、唇を重ねるとどんな柔らかさだろう、むしろ硬いのか。
　おまえは其れを命令のひとつとして機械的に処理するのかな。機械人形、からくりというものは特別を作らない。異なる思考はバグを生み、動作に支障をきたすのだから。

　けれどなロクス。

「…キスとかしたことある？」
　俺が知らないおまえはどんな風にすごしていたんだろう。
　どんな命令をきいていたんだろう。
「…コウさ、…」
　お腹がすいたといえば、かしこまりましたと調理するような気軽さで、誰のどんな命令をきいていたの？

「……今は喋らなくていいよ」

　聞きたい、聞きたくない。
　知りたい、知りたくない。
　物欲しそうな眼をしていることに気づかず、それを記録されているなど考えも及ばず、功至は半端に開けられた彼の唇を指でなぞった。