◆◆西京project用ブログ◆◆腐向け・女性向け表現アリ◆西京参加者様に限りリンクフリー◆
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花屋で働いてるのに花を贈るのはおかしいだろう。
栄養補給は日光浴で良し。チョコレートなんて食べれたっけ?
「………わかってるよーでわかってねえっつーか」
明日はバレンタイン。
誰が決めたかお菓子会社の陰謀か、好きな人にチョコレートを贈る日である。
ついでに言えばこんな時に相談できる人がいればいいのだが、雪代功至はここ最近で漸く対人恐怖症を克服できた程度であり、こうして相談できるほどに仲のいい友人などいない。気づいたら虚しくなったが、だからといって明日から心機一転ともだち百人つくろうか!と行動に移せるタイプでもない。
さてどうしようか。
女子が群がるチョコレート売り場を眺めつつ、銀髪の人ならざる同居人について本気だして考えてみた。そうだ、チョコだけを贈る日ではないのだ。例えばハンカチとか。
…そういや割烹着にシャツにネクタイとよくわかんねえファッションセンスだよなああいつ。本人に聞いてみたら、「一般的な成人男性が好んで着るものはこちらでした。更には、作業の際に汚れても構わぬよう機能的な上掛けを選択したのですが」と、あぁそっかーとつい納得してしまったんだっけ。
総合的に見ると変だよ、という意見もあれだけ自信に満ちたロクスを見ると何も言えなくなる。
「かっぽーぎ贈るっつってもなあ」
清潔を心がけておりますので。…そう言うロクスがつい浮かんだ。
家に眠っていた古着の、使えそうなものを洗って手入れして割烹着にリメイクする機能まで持っているのである。恐るべしよその星、おそるべし家事万能ご奉仕からくり。いやマジで何を贈ればあいつ喜ぶのよ。
「どーしよ」
夕刻を過ぎてチョコレート売り場で品定めをする女子の気迫がだんだん鬼気迫るものになっていく。ぶっちゃけ怖い。多種の香水のかおりも混じってきたし、よろよろと功至は他の売り場へ向かった。
…紳士服売り場。馴染みのあるものが並んでいるので一息つける。
「おー」
マフラー安売りしてら。まだ寒いから重宝するけど、買い換えるには半端だよなと手にとり眺める。今冬流行した色や柄物は売り切れてしまっているが、来年は買い換えようかなーと自分が首に巻いているものを見下ろしつつ考える。
「…ロクスには不要かな」
功至は好きな、ひとより体温の低いロクスの手。暑さも寒さも感じない機械人形に、防寒具など不要だろう。
でも、と売り場を彷徨う。何か。何かないかな。靴下もパス、肌着もパス。功至は歩き、眺め、
「…あった」
コレだ。コレでいいじゃん。
似合いそうなものをひとつ選ぶと、店員を捕まえラッピングを頼んだ。
「あらおはよう」
「おはようございます、ラージュ様」
翌々日、2月15日。ロクスは花屋『花咲里』へ、人でいうならば少し高揚した気持ちでやって来た。今日は色々とうまくやれそうな気がする。そんなやる気に満ちたロクスを見て、ラージュは微笑んだ。
「お熱いことね」
「…? 本日は前日と同じ気温で、曇りときどき雪のはずですが」
いやあね陽射しじゃないわよ、とラージュは訂正を入れ、襟元を見て一言。
「よく似合っているわ」
「有難うございます」
彼女が褒めたのはロクスのネクタイだ。昨日貰ったのだろう、新しいネクタイは彼によく似合っている。ユキシロコウジ、なかなかにセンスあるじゃない。…だけれど。
おかしさを堪えつつ、籠を抱え奥に向かう。雪除けネットを外すロクスへ、通り過ぎながら声をかけ。
「そうだわ、知っている?」
なんでしょうかという言葉を背に受けながら。
「好いたひとにネクタイを贈る意味はね。…貴方に首ったけ、なのだそうよ」
同時刻、西京駅で仕事に励む功至は原因不明のくしゃみをしていた。
花屋で働いてるのに花を贈るのはおかしいだろう。
栄養補給は日光浴で良し。チョコレートなんて食べれたっけ?
「………わかってるよーでわかってねえっつーか」
明日はバレンタイン。
誰が決めたかお菓子会社の陰謀か、好きな人にチョコレートを贈る日である。
ついでに言えばこんな時に相談できる人がいればいいのだが、雪代功至はここ最近で漸く対人恐怖症を克服できた程度であり、こうして相談できるほどに仲のいい友人などいない。気づいたら虚しくなったが、だからといって明日から心機一転ともだち百人つくろうか!と行動に移せるタイプでもない。
さてどうしようか。
女子が群がるチョコレート売り場を眺めつつ、銀髪の人ならざる同居人について本気だして考えてみた。そうだ、チョコだけを贈る日ではないのだ。例えばハンカチとか。
…そういや割烹着にシャツにネクタイとよくわかんねえファッションセンスだよなああいつ。本人に聞いてみたら、「一般的な成人男性が好んで着るものはこちらでした。更には、作業の際に汚れても構わぬよう機能的な上掛けを選択したのですが」と、あぁそっかーとつい納得してしまったんだっけ。
総合的に見ると変だよ、という意見もあれだけ自信に満ちたロクスを見ると何も言えなくなる。
「かっぽーぎ贈るっつってもなあ」
清潔を心がけておりますので。…そう言うロクスがつい浮かんだ。
家に眠っていた古着の、使えそうなものを洗って手入れして割烹着にリメイクする機能まで持っているのである。恐るべしよその星、おそるべし家事万能ご奉仕からくり。いやマジで何を贈ればあいつ喜ぶのよ。
「どーしよ」
夕刻を過ぎてチョコレート売り場で品定めをする女子の気迫がだんだん鬼気迫るものになっていく。ぶっちゃけ怖い。多種の香水のかおりも混じってきたし、よろよろと功至は他の売り場へ向かった。
…紳士服売り場。馴染みのあるものが並んでいるので一息つける。
「おー」
マフラー安売りしてら。まだ寒いから重宝するけど、買い換えるには半端だよなと手にとり眺める。今冬流行した色や柄物は売り切れてしまっているが、来年は買い換えようかなーと自分が首に巻いているものを見下ろしつつ考える。
「…ロクスには不要かな」
功至は好きな、ひとより体温の低いロクスの手。暑さも寒さも感じない機械人形に、防寒具など不要だろう。
でも、と売り場を彷徨う。何か。何かないかな。靴下もパス、肌着もパス。功至は歩き、眺め、
「…あった」
コレだ。コレでいいじゃん。
似合いそうなものをひとつ選ぶと、店員を捕まえラッピングを頼んだ。
「あらおはよう」
「おはようございます、ラージュ様」
翌々日、2月15日。ロクスは花屋『花咲里』へ、人でいうならば少し高揚した気持ちでやって来た。今日は色々とうまくやれそうな気がする。そんなやる気に満ちたロクスを見て、ラージュは微笑んだ。
「お熱いことね」
「…? 本日は前日と同じ気温で、曇りときどき雪のはずですが」
いやあね陽射しじゃないわよ、とラージュは訂正を入れ、襟元を見て一言。
「よく似合っているわ」
「有難うございます」
彼女が褒めたのはロクスのネクタイだ。昨日貰ったのだろう、新しいネクタイは彼によく似合っている。ユキシロコウジ、なかなかにセンスあるじゃない。…だけれど。
おかしさを堪えつつ、籠を抱え奥に向かう。雪除けネットを外すロクスへ、通り過ぎながら声をかけ。
「そうだわ、知っている?」
なんでしょうかという言葉を背に受けながら。
「好いたひとにネクタイを贈る意味はね。…貴方に首ったけ、なのだそうよ」
同時刻、西京駅で仕事に励む功至は原因不明のくしゃみをしていた。
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