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20131231。
――それは運悪くビルの倒壊に巻き込まれた二輪の薔薇。黒は白を守り、白は黒にすがりついて泣いていました。
大阪帝国を二分する紅灯商会と黒牙會の戦いは、黒牙會の勝利で終わりました。ただでさえ疲弊と敗北に苛ついていた蛟は、煩いなあ黙らせようか、と血塗れた刀身を拭ってそちらへ足を進めます。
気づいた黒薔薇が言いました。下半身を瓦礫に呑まれて、元より白い肌がいっそう白くなっていましたが、黒薔薇は変わらず凛とした強さが残っています。
――終わらせてくれないか。
へえ。どう終わりたいの。
――胸に結晶がある。それを、この子に。
駄目、やめてとすがる白薔薇を蹴りとばし、蛟は黒薔薇を見下ろしました。
刃が器用に黒薔薇の服を裂いてゆけば、確かに。ささやかな膨らみのある胸に、黒い結晶花が咲いています。黒薔薇が目を閉じると、それはビデオの巻き戻しのように、すっと蕾へ戻ってゆきます。
――これをあの子に。
蛟は屈み、唇でそっと小さな結晶を摘み取りました。
そして刃で黒薔薇の胸を刺し貫きます。黒薔薇の体が光る花びらとなり、何も遺さず散りました。
蛟にすがりつく白薔薇を捕まえ、暴れる彼女を抑えるためにやむなく刀を置き、顎を掴んで唇を重ねます。
それを飲み込む白薔薇に囁きました。
…きみの半身だろう。味わいたまえよ。
白薔薇は殺す、お前を殺す、と暴れます。煩いのでまた深く唇を重ねて、彼女が空気を求めるまで舌を絡め、弱々しく背を叩かれて漸く離してやりました。
置いた刀を拾うとまだ赤い汚れがついています。黒薔薇だったものの、赤い命の残滓です。
綺麗にしてくれないか。
白薔薇は言われた意味がわからず、蛟と、その刀を交互に見つめます。
…綺麗にしてくれないか?
おずおずと這い、刀身に手を添え、舌を出して舐めとると黒薔薇の味がしました。ぽろぽろ涙を零しながら、白薔薇は夢中で舐めました。
白薔薇は黒薔薇を喰いました。
――デクス、いつまでも、一緒よ。
泣きながら微笑む白薔薇は、先ほどの黒薔薇と同じように、光る花びらとなり消えて――黒薔薇と違い、一輪の白薔薇になってしまいました。その花弁の一片は黒く染まっています。
…捨て置こうかとも思いましたが、蛟は、その一輪の薔薇を拾いました。
そういえば紅灯商会のアジトのひとつに、彼女らの船のコアが保管されていたはずです。それを思い出し、取りに行こうと踵を返し。
背後。もっと遠くでは、未だ紅灯商会と黒牙會の構成員が小競り合いをしていましたが、勝敗が決した今となっては蛟に刀を握る意味はありません。
きっと紅灯商会は黒牙會に吸収されるでしょう。
あの黒牙會の思想を考えれば、このまま居残る意味もありません。あちらは、蛟には優しすぎるのですから。
ならば黒薔薇の手向けに、この白薔薇と彼女らの船のコアを安全な所に置いてやろう。
蛟の行動は、ただの気紛れです。
半身を喰らうのは旨そうだ、と羨みながら、蛟は独り歩いてゆきました。
20131231。
――それは運悪くビルの倒壊に巻き込まれた二輪の薔薇。黒は白を守り、白は黒にすがりついて泣いていました。
大阪帝国を二分する紅灯商会と黒牙會の戦いは、黒牙會の勝利で終わりました。ただでさえ疲弊と敗北に苛ついていた蛟は、煩いなあ黙らせようか、と血塗れた刀身を拭ってそちらへ足を進めます。
気づいた黒薔薇が言いました。下半身を瓦礫に呑まれて、元より白い肌がいっそう白くなっていましたが、黒薔薇は変わらず凛とした強さが残っています。
――終わらせてくれないか。
へえ。どう終わりたいの。
――胸に結晶がある。それを、この子に。
駄目、やめてとすがる白薔薇を蹴りとばし、蛟は黒薔薇を見下ろしました。
刃が器用に黒薔薇の服を裂いてゆけば、確かに。ささやかな膨らみのある胸に、黒い結晶花が咲いています。黒薔薇が目を閉じると、それはビデオの巻き戻しのように、すっと蕾へ戻ってゆきます。
――これをあの子に。
蛟は屈み、唇でそっと小さな結晶を摘み取りました。
そして刃で黒薔薇の胸を刺し貫きます。黒薔薇の体が光る花びらとなり、何も遺さず散りました。
蛟にすがりつく白薔薇を捕まえ、暴れる彼女を抑えるためにやむなく刀を置き、顎を掴んで唇を重ねます。
それを飲み込む白薔薇に囁きました。
…きみの半身だろう。味わいたまえよ。
白薔薇は殺す、お前を殺す、と暴れます。煩いのでまた深く唇を重ねて、彼女が空気を求めるまで舌を絡め、弱々しく背を叩かれて漸く離してやりました。
置いた刀を拾うとまだ赤い汚れがついています。黒薔薇だったものの、赤い命の残滓です。
綺麗にしてくれないか。
白薔薇は言われた意味がわからず、蛟と、その刀を交互に見つめます。
…綺麗にしてくれないか?
おずおずと這い、刀身に手を添え、舌を出して舐めとると黒薔薇の味がしました。ぽろぽろ涙を零しながら、白薔薇は夢中で舐めました。
白薔薇は黒薔薇を喰いました。
――デクス、いつまでも、一緒よ。
泣きながら微笑む白薔薇は、先ほどの黒薔薇と同じように、光る花びらとなり消えて――黒薔薇と違い、一輪の白薔薇になってしまいました。その花弁の一片は黒く染まっています。
…捨て置こうかとも思いましたが、蛟は、その一輪の薔薇を拾いました。
そういえば紅灯商会のアジトのひとつに、彼女らの船のコアが保管されていたはずです。それを思い出し、取りに行こうと踵を返し。
背後。もっと遠くでは、未だ紅灯商会と黒牙會の構成員が小競り合いをしていましたが、勝敗が決した今となっては蛟に刀を握る意味はありません。
きっと紅灯商会は黒牙會に吸収されるでしょう。
あの黒牙會の思想を考えれば、このまま居残る意味もありません。あちらは、蛟には優しすぎるのですから。
ならば黒薔薇の手向けに、この白薔薇と彼女らの船のコアを安全な所に置いてやろう。
蛟の行動は、ただの気紛れです。
半身を喰らうのは旨そうだ、と羨みながら、蛟は独り歩いてゆきました。
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